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今夜、あなたの猫になる



<30>



 気迫漂う黒瞳を見返せず、大貴が目をそらすと、庄領はすっと身を引いてしまった。

 はっと顔を上げ、目線でその姿を追いかけると、シャワーのバルブを閉めた庄領は、壁に埋め込まれた棚の中からブルーのボトルを取り出した。

「──なっ…何っ……?」

 たじろぐ大貴を見返し、庄領は肩をすくめた。

「ただのボディソープだ。躰を洗わないままだと気持ち悪いだろう?」

 そう言われると急に恥辱が蘇り、大貴は目を伏せた。

 散々ストーカーにいじくり回された後、そのまま服を着て、ここまで来てしまったのだ。

 だからなのか、何となく自分の躰が汚されてしまったような、微妙な不快感が確かに残っている。

 さすがに、レイプされたわけではないから、身体的なダメージは無いのだが──。

 両手にボディソープをなじませた庄領は、うなだれている大貴を胸の中に抱き寄せ、耳元で囁いた。

「大丈夫だ──お前はすぐに綺麗になる。
 何も考えずに、身を委ねていればいい」

 敏感になっているせいか、首筋にキスをされている時のようにゾクゾクする。

 ボディソープのぬめりを帯びた掌が濡れた肌に触れると、大貴はビクリと身悶えた。

「ほら、顔を上げるんだ」

 促されるまま仰向くと、庄領の唇が覆い被さってくる。

 キスをされながら全身を洗われる快感に、大貴は次第に溺れていった。

 だが、上半身をガラスの壁に押しつけられ、臀部を背後に突き出すような姿勢を取らされると、激しい羞恥に襲われた。

 泡立てたボディソープを臀部に塗りつけられ、その狭間に男の指先が滑る。

「ああっ……うっ……ふっ…ぅんっ……」

 秘蕾や会陰を擦りながら、庄領の指が上下に何度も行き来すると、大貴はガラスの壁で自分を支えながら、勃起した自身のペニスを扱き始めた。

 後ろを触られただけで達してしまうのは怖い──その強烈な快感を覚えてしまえば、取り返しのつかない場所まで堕ちてしまいそうだった。

 だが、庄領の指が後肛にもぐりこみ、内部まで泡立てようと抽送を始めると、大貴はたまらず双丘を振り乱した。

 鈎型に曲がった指が、その一点を集中的に責めると、意思の力で声を押さえることもできず、はしたない喘ぎを上げてしまう。

「ひぐっ……ぅああっ…あっ、ああっ……や、止めてくれっ」

 突き刺されるような刺激がその部分から一気に広がり、全身が凄絶な快感に包まれた。

 なすすべもなく痙攣しながら、半勃ちになったペニスの尖端からダラダラと透明な雫がこぼれ落ちる。

 刹那的な射精では味わえない無い、腰の奥から全身に響き渡るような長い快感──。

 頭の神経が焼き切れそうな絶頂に、放心した大貴はガラスの壁を滑り落ちるように、床に頽れていた。

「──まだ終わっていないぞ」

 くすくすと笑いながら、ぐったりした大貴の躰を抱え上げた庄領は、シャワーが全身に当たる場所まで引き戻した。

「……ひあっ……ああっ……ヤダっ……何で……ッ」

 躰に力が入らず、大理石の上に突っ伏していた大貴は、優しく降り注ぐ水流にさえ身悶えてしまった。

 鋭敏になりすぎた肌は、繊細な刺激にさえ感じてしまい、皮膚の内側からずきずきと疼く。

「腰を上げるんだ。中まで洗えないだろう」

 ほとんど床に直角になるような形で双臀を突き上げさせられると、庄領は左右に尻肉を開いた。

 シャワーの雨が、白い泡を滲ませる後肛を打ち始めると、大貴は狂ったように双丘を振り乱した。

「ヒイィウッ…んっ……やっ…やだっ……それっ……んあぁっ……!」

 再び指が突き入れられ、窄まりを左右に開かれる。

 内部にまで水滴が落ちると、大貴は目を剥いて、ケダモノのような呻き声を上げた。

「ぅああっ…はあぁっ…ああっ…んっ!」

「いい声で啼く……これが気に入ったか?」

 ひどく嗜虐的な笑い声を立て、庄領は秘肛を貫いた指を淫猥に蠢かせた。

 床にしがみついた大貴は、抵抗する力を削ぎ取られ、シャワーの雨の中でただ頭を振りたくっていた。

 その瞬間、ペニスが絶悦に爆ぜ、床を汚す。

 シャワーのバルブをもう一度閉めた庄領は、別のボトルを手にして戻り、息を荒らげている大貴の背後に膝を突いた。

 何をされるのかと怯えることすらできず、もう一度先ほどと同じように腰を持ち上げられた大貴は、そこに庄領が口づけた途端、尻をくねらせた。

「あっ、うっ……や、やめてくれ……もう……」

 左右に広げられた双臀の窄まりに、唇が押しつけられ、キスをするように吸われる。

 さらに奥へと舌が滑り込んでくると、大貴は羞恥に顔を赤らめた。

「あっ…ひいっ……やめろっ…汚い…から……」

 排泄器官を舐められる恥辱には、どうしても慣れそうにない。

 激しい羞恥と嫌悪感、そして淫靡な快感が混在した感覚に押し流されそうだった。

「汚くはない。私とお前が一つに交わる場所だからな。
 それに、今……中まで洗ったばかりだろう?」

 押しつけていた顔を離してくすくすと笑った庄領は、指を埋め込んで広げた後蕾に、ふっと息を吹きかけた。

「ひううっ……あっ、あっ…あううぅ……」

 ヒクヒクと収縮する媚肉にねっとりと舌を這わされ、内部の粘膜まで刺激されると、大貴は快感を拒めなくなっていった

 倒錯的な興奮に頬を上気させ、熱くこごった吐息をもらしながら、淫らな舌の動きに合わせて腰を揺らしてしまう。

「……んっ…ふぅっ…あ、はあっ……んっ……」

 敏感になりすぎているのか、舌がくねるたびに艶めいた喘ぎがこぼれる。

 閉ざすことさえできない口の端からは、透明な雫がたらたらと流れ落ちていた。

 だが、刺激から逃れようと躰をしならせ、よじりながらも、口づけが離れると、大貴は求めるように双丘を振り乱した。

 淫らに伸縮する後蕾の上にとろりとしたローションが降りかかり、再び男の節ばった指で貫かれると、背筋を仰け反らせ、大貴は前方から白濁を迸らせた。

「──気持ち悦かったのか?」

 大きく胸を喘がせる大貴の耳元に顔を寄せた庄領は、弛緩している腰を抱え上げ、柔らかく蕩けた後孔に剛直を押しつけた。

 四肢を床に突いた体勢は、獣の交尾を思わせ、朦朧としていた大貴はのろのろとかぶりを振った。

 だが、雄の楔が容赦なく埋め込まれてくると、躰が崩れてしまわないよう、両手足を突っ張ることしかできなくなった。

「……アアッ! あっ…うはっ…ッ…はあっ……」

「良い子だ。この間よりずっと上手に咥え込めるようになったな」

 引き裂かれそうな圧迫感は相変わらずだったが、それでも確かに、前回の交合よりは苦痛は減っていた。

「ううっ……頼むから……早く…終わらせてくれ──も、もうっ……苦しい」

 根元の方まで深々と侵入している庄領の肉杭が、大貴の躰の中でビクビクと脈動しているのを感じてしまう。

 その大きさや質量に呻いていた大貴は、限界まで押し開かれた肉輪を指先でなぞられた瞬間、躰を震わせた。

「大貴のここがこんなに広がって、きゅうきゅうと私を喰い締めてくる。
 舐めてやれないのが残念だ」

 唾液を塗した指先を這わせながら、庄領が秘やかに笑う。

 卑猥な言葉に全身の血が沸騰するような気分を味わい、大貴は顔を真っ赤に染めて、背後を睨んだ。

「……バカな事……言うな! ……アッ、アアッ!」

 腰を抉るように揺すられた瞬間、大貴の言葉はうわずり、切羽詰まった悲鳴に変わった。

 庄領が腰を引き、抑制された動きで突き込むと、張り出した部分が過敏になったポイントを擦り上げ、鮮烈な刺激が全身に駆けめぐった。

「ヒアアッ……ああっ…ダメ……まだ、動くな……ああッ!」

「早く終わらせたいんじゃなかったのか?」

 意地悪く問われ、大貴は髪を振り乱した。

「ひっ、ひいっ……嫌だ…ッ……動かないでッ──。
 中で…擦れてッ……ああっ…奥まで…ッ……入ってくる!」

 結合が深まると、侵入した重苦しい異物の感触に、大貴は悲鳴を上げた。

 後肛に垂らされたローションが庄領の動きを助け、抜き差しされるたびに、グチュグチュと淫猥な蜜音を立てる。

 緩急をつけた律動で責め立てられると、理性の箍が吹き飛び、大貴は狂乱に陥った。

「うああっ……はぁっ、ああっ……止めてくれッ!
 ──ふっ…深すぎるッ……も、もう……壊れる……ッ」

 凄まじい剛直に奥深くを突かれると、精神まで崩されそうになり、大貴は哀願した。

 だが、一体に交わった部分は熱く溶けて混ざり合い、そこから生まれる快感が全身を侵蝕しようとしていた。

「大貴──私の名前を呼んで、愛しているといってごらん」

 その時、深々と躰を繋げたまま、わずかに息を弾ませた庄領が甘く囁いた。

 聴覚から神経までを愛撫する欲情に濡れた声が響くと、恍惚の表情を浮かべ、大貴はぶるりと総身を震わせていた。

「……あ、ああっ……愛してる……愛してるから……も、もう…ッ……千晴ぅ…ッ」

「可愛い大貴……これからお前は、私だけの『猫』になるんだ」

 淫らな律動のさなかに告げられた言葉は、まるで悪魔の囁きのように妖しく響いた。



 大学の講義が無い土曜、日曜の朝は、いつも朝ご飯をねだるアンズに起こされるまで、惰眠を貪っていた。

 前日の疲れが残っている朝は、もう一度ベッドにもぐりこみ、昼近くまで眠っているのが常だった。

 ところがその日の朝、大貴を目覚めさせたのは、アンズが前足をもみもみする可愛い仕草ではなく、もっと淫らな感触だった。

 素肌の上を濡れた感触が滑り、眠っていてさえぴくりと反応する場所を探り出し、執拗にそこばかりを吸い上げる。

 胸の突起を舌先で転がされ、反対側を指で揉まれていると、だんだん大貴の下半身は反応し始めていた。

 それを見て気をよくしたのか、乳首への愛撫がさらに熱心になり、じんじんと熱を孕んで疼くほど弄られる。

「……なっ…何やってるんだよ!」

 ついに眠っていられなくなった大貴は、自分の胸元に顔を伏せている男に気づき、ぎょっとして叫んだ。

「お前のあどけない寝顔を見ていたら、触れてみたくなった。
 これからは毎朝、こうして、キスをすることができるな」

 目を見開いた大貴の顔をのぞきこんだ庄領は、微笑を浮かべたまま唇にキスを落とした。

 蕩けるような甘い言葉に照れ臭くなり、大貴が顔を背けようとすると、うなじを押さえられ、さらにキスが深くなる。

「おはよう」のキスにしては淫猥なディープキスに息を止めた大貴は、舌が絡まり合う感触に恍惚となり、身をすり寄せるようにして応えていた。

 だが、口づけが首筋から肩へと滑り落ちてゆくと、くすぐったさに躰をよじらせてしまう。

「……じっとしていろ。まだ探検の途中だ」

 叱りつける庄領の声は柔らかな笑みを含み、少し悪戯っぽく響く。

「やだよ、くすぐったいだろ」

 じゃれ合う心地よさに身をくねらせ、大貴はキスの雨から逃れようとした。




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